富士SUPER TEC 24Hレース

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富士SUPER TEC 24Hレース

9 月4〜6 日 富士スピードウェイ(静岡県)
予選:晴れ/ドライ 入場者数:未発表
決勝:晴れ一時雨/ドライ一時ウェット 入場者数:未発表
ナチュラルチューニング☆クスコ☆ NATS(マツダロードスターND5RC)
小松寛子/猪爪杏奈/岡原達也/金井亮忠/松尾康博

スーパー耐久デビュー戦で一時4 番手を走行、24 時間レースで9位完走果たす

 マツダファンエンデュランスシリーズ(マツ耐)やロードスターパーティレースIII を戦ってきたiCraft(猪爪俊之:監督)は、2020 年より新たなステージとなる、PIRELLI スーパー耐久シリーズに参戦。激戦区として知られるST-5 クラスに、マツダロードスター「ナチュラルチューニング☆クスコ☆ NATS」で挑むことになった。なお参戦にあたり、日本自動車大学校(NATS)の支援を受け、学生たちがマシンを製作し、メカニックを担当する。
 本来ならば3 月に鈴鹿での開幕を予定していたスーパー耐久ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大幅なスケジュールの変更を求められ、関係者の尽力によって、ようやく6か月遅れでの開幕となった。しかも初戦は富士スピードウェイを舞台とする、いきなり24 時間レースという、最も過酷な出航となった一方で、長いオフのおかげでマシンはしっかりと仕上げられ、完全な状態でレースに臨めるようになっている。ロードスターの経験豊富なドライバーたちの活躍が期待された。

公式予選

 土曜日の15 時にスタートを切り、24 時間もの長丁場を走ることもあり、レースウィークの公式スケジュールは木曜日から開始。この日は1 時間30 分の専有走行が、ナイトセッションを含め3 回行われたが、いずれも不安定な天候の中、完全なドライコンディションで走ることは最後まで許されなかった。
 予選の行われる金曜日は、一転して青空に恵まれるまでとなり、ようやくドライコンディションでの走行が可能に。ぶっつけ本番にも等しいプレッシャーもかかる状況ではあったものの、それ以上にドライバーやスタッフ全員が、戦いに打って出られる喜びを感じてもいた。
 スーパー耐久の予選は、A ドライバーとB ドライバーのタイム合算によってグリッドが決められる。その大役を務めるのは、モータースポーツ界での台頭著しい、女性ドライバーのふたり。単に話題性だけではない実力派で、勝負をかけることとなった。
 A ドライバー予選に挑んだのは、2019 年のパーティレースIII 北日本シリーズ2位の小松寛子。気温の高さもあってウォームアップは、アウトラップに加え1 周だけとして、計測2 周目からアタックを開始。2 分9 秒503 から9 秒095 と徐々に短縮していき、ラストアタックで2 分8 秒480 をマーク、トップとはコンマ8 秒差での5番手につけることとなった。
 続いてB ドライバー予選に挑んだのは、2018 年にパーティレースIII 西日本シリーズ4位、2019 年にJAF-F4 シリーズ5位の猪爪杏奈だ。小松同様、徐々に2 分9 秒923 からタイムを刻んでいき、9 秒015、そしてラストアタックで2 分8 秒786 にまで到達。6番手につけた結果、タイム合算では4番手の好位置から、決勝に望むことが決定した。
 なお、C ドライバー以降は順位に反映されないものの、予選を走行して基準タイムをクリアしなくてはならない。C ドライバーの岡原達也は2分8 秒564 でクラストップ、D ドライバーの金井亮忠は2 分9 秒635 でクラス5番手、そしてE ドライバーの松尾康博は2 分10 秒833でクラス10 番手につけることに。5人のドライバーに大きなタイムのばらつきがないことは、決勝に向けて大きな期待材料ともなっていた。

小松寛子
 ちょっと出るのを遅らせて単独で、ていねいに走ることを心がけた結果、他のロードスター勢と引けを取らないポジションにつけられたので、とても良かったです。頑張りました! 
 とにかく最後まで走りきることを目標に、ミスなく頑張ります。

猪爪杏奈
 走り出しの位置はすごく良かったのですが、アタックしている時に違うクラスの車両にダンロップコーナーで刺されて、そこで大きくロスしながらのタイムです。チームオーダーで次の周には帰ってこなければならなかったので、個人的には残念でしたけど、小松さんと力を合わせて同じようなタイムで4番手が獲れたので、チームには貢献できたと思います。
 パーティレースやマツ耐からステップアップしてきたドライバーと金井選手と一緒に、クルマを壊さないようにすれば、メンバーは揃っているので、きっといい結果を残せると思います。

決勝レース

 24 時間もの長丁場を間近に控えて、サーキット上空には青空が広がっている一方で、その傍らには灰色の雲が。天気予報は、いずれ雨に見舞われることを告げているから、いつ何時降り始めても大丈夫なように対応はしていたが、問題はタイミングと、どの程度降るかだ。
 「ナチュラルチューニング☆クスコ☆ NATS」のスタート担当は金井。NATS の講師であり、また2018 年のJAF-F4 東日本チャンピオンを始め、数々の実績を残しているドライバーだけに、周囲としては大いに警戒していたに違いない。だが、そんな予想とは裏腹に、金井は周回を重ねるごと順位を落としていく。が、これこそ作戦の第一。徹底した燃費走行で最初のスティントを伸ばそうという! 
 実のところ、狙いとしていたのは2 時間以上の連続走行ではあったのだが、予定を狂わせてしまったのは、1 時間半ほど経過して豪雨に見舞われ、セーフティカー(SC)が入ってしまったため。予定外ではあったが、6番手走行中の金井をピットに戻し、2018 年のパーティレースIII 東日本シリーズ王者の岡原にバトンタッチ。
 最初のSC ランは実に38 分間にも及び、ようやくバトルが再開される。その後の岡原は6番手をキープ。が、SC ランが終了しても、雨はやむことなく、さらに総合トップの車両がホイール脱落により、コース脇にマシンを止めたため、2 回目のSC ランが。3 時間経過とほぼ同じタイミングでSC はコースを離れたものの、今度は土砂降りが! 即座に3 回目のSC ランが実施され、1周後には赤旗が出されてレースは中断。マシンはストレート上に止められたまま、4時間以上も沈黙の時が続くこととなる。
 再開は22 時30 分、本来ならスタートから7 時間30 分を経過したタイミングだ。SC スタートで始まり、間もなく岡原をピットに戻し、猪爪に交代。併せて義務づけられた10 分間のメンテナンスタイムを消化したため、猪爪がコースに戻るとポジションは8番手となっていた。途中2 回のSC ランを挟み、54 周、実に2 時間半ものロングスティントをこなして、猪爪は松尾と交代。2019 年の富士チャンピオンレース・ロードスターカップ1.5 チャレンジの王者にとって、初めての24 時間レースであり、もちろん夜間のレースも初となる。だが、予想以上にコンスタントな周回で、スタッフの信頼をより増すこととなった。ただ、ひとつ不運があったとしたら、その走行中にトラブルを抱えた車両から外れたタイヤを、フロントバンパーに当ててしまったこと。
 幸い、走行には支障は及ばず、179 周目の猪爪への交代と併せ、応急処置が施される。なお、松尾もまた、ほぼ2 時間半の走破を果たす。猪爪から金井にバトンが託されたのは、235 周目で実に2 時間50 分も走行! その理由として、そこまでSC が9 回も(さらに後、もう1 回)導入されたためでもあるが、ナチュラルチューニングの効果も絶大だったからでもあった。ロスを最小限としたことで、あたりが明るくなって、雨までやんでくれた頃にはポジションが4番手にまでアップ。表彰台獲得も夢ではなくなってきた。18 時間経過を間近にした、285 周目に金井から小松にスイッチ。このスティントも2 時間10 分の長きに渡った。ここまでメカトラブルに見舞われず、ペナルティも課せられることなく、ほぼ順調そのもの。だったのだが……。
 311 周目、先の交代から1 時間をわずかに超えたタイミングで、小松が緊急ピットイン! ST-X 車両との接触で足回りにダメージを負ったためだ。ここで左フロントのハブ交換を強いられ、35 分をロス。9番手に後退してしまう。戦列復帰後は、岡原と松尾がドライブ。433 周の走破を果たし、9位で「ナチュラルチューニング☆クスコ☆ NATS」はチェッカーを受けることとなった。
 二度ももらい事故に遭遇し、そして10 回に及ぶSC ランで、総合トップ車両の背後につけていたことから、同じクラスの車両にラップダウンになってしまったことは一度や二度でなかった。しかしながら、メカニカルトラブルには一度も見舞われず、最後までノーペナルティであったのは、メカニックを務めたNATS の学生たちがマシン製作、レースオペレーションをいかに的確に行なっていたかの証明とも言えるだろう。これは経験豊富なドライバーたちだからこそ、より実感していたし、また今後のレースに対して信頼はより高まった。

 次回のレースは10 月10 日にスポーツランドSUGO で、3 時間レースとして開催される。24 時間に比べればスプリントも同然の戦いで、「ナチュラルチューニング☆クスコ☆ NATS」がどんなバトルを繰り広げるのか、期待は高まるばかりだ。

小松寛子
 私はスーパー耐久5年目で、このチームの中では経験ある方なので、誰よりちゃんと何事もなく、自分のスティントを走りきるということをやらなくては、と思っていたのに、自分の不注意が原因で修理をしてもらうことになったので、いろいろ反省点があったレースでした。
猪爪杏奈
 個人的には夜間の2スティントをノーミス、ノーペナルティで、ずっとコンスタントにタイムを刻んで走り続けられたので、良かったです。私が降りた後も4番手をしばらくキープしていてうまく行っていると思っていたのですが、他車との接触をきっかけに、歯車が狂いはじめてしまいました。本当に24 時間は何が起こるか分からないから、みんなでバランス良く頑張らないと勝てないなと痛感しました。ちょっと表彰台の夢を見たのですが、残念です。
岡原達也
 雨に踊らされましたね。SC ランでリーダー車のすぐ後ろに何度も入ってしまって、それでラップダウンになったり、他車と接触してしまったり。それ以外は割と順調に行っていたのですが、ちょっと不運が重なった面もあって、流れとしては最後まで取り戻せないまま終わってしまいました。
 ただ、学生も初めてのレースですし、チームとしても初めて、クルマも初めての中では、チェッカーまでマシンを持って来られたし、及第点かなと。課題も見えたし、セッティングも含めて、次に向けてまたやっていこうという気持ちになりました。まだまだこれからです!
金井亮忠
 スタートから超低燃費走行していたので、あれで2 時間とか走りたかったのですが、SC が入ってしまって。ただ、ゆっくり走っただけになってしまいました。お昼前の接触は、しょうがないですね、そこは。
 クルマ作りから全部学校で、メカニックはタイヤ交換、給油とか全部練習して、学生たちがやっているじゃないですか。クルマがメカニカルトラブルで壊れることなく走りきったということは、すごく自信になりましたし、学生たちもノーペナルティで自分たちの仕事をこなせましたから、そこもすごく彼らにとっても自信になったと思います。
松尾康博
 初めてS 耐の参加で、速いクルマと一緒に走ることに緊張ばかりしていましたが、メカの皆さんとチームの皆さんの指導で、なんとか最後まで走ることができました。他のメンバーみんな、S 耐経験者ですけど、私に最後、最終走者をやらせていただいて、チームには本当に感謝しています。本当に感激しました、ゴールの時は!
猪爪俊之監督
 このカテゴリー、このレベルのシリーズに来ちゃうと簡単には勝てないな、っていうのを思い知りました。まぁ当たり前ですけどね。でも、表彰台にちょっと小指がかかったぐらいのところまで、18 時間ぐらいまで来たから、ちょっと夢見てしまいました。ちゃんと出直してきます。
 でも、全くの新車で初参戦、初完走というのはNATS の技術力の証明でもあり、ノーミスのピット作業は学生の努力の賜物だし、クルマのセットアップの方向も間違っていなかったと思います。ドライバーも経験している人たちばかりですから、まぁどこかでいいことあるでしょう、頑張っていれば。